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2011年3月11日 (金)

愛しくて切ない

 ゆうべ母は、消灯後にトイレに3回起きた。

 そっとベッドから起き出すのに、その度に私は目が覚める。普段から私の眠りは浅いけれど、昨日はアヒル寝してないから熟睡するだろうと思ってたのにね。

 そして案の定、母は目の前のバリアフリートイレの大きな扉ではなく、部屋の入り口のドアを開けようとする。

 私が部屋の明かりをつけて「こっちだよ」と誘導する。

「ごめんねぇ…起こしちゃったねぇ…ありがとね」

 母に限らず、子供を産んだお母さんは、誰もが何ヶ月も(1年以上?)授乳の為に夜中に何度も起きるんだよね。

 今朝はホテルのモーニングバイキング。

 わざわざ一番大きなお皿をトレイにのせる母…子供と一緒なんだよね。

「食べられるだけしかのせちゃだめよ。食べてから、まだ食べられるなら また取りに行けばいいんだから」

 それでも私の車椅子を押そうとしてくれるのは「母親」なの。

「いいホテルだったねぇ。遠くまで行く事ないねぇ」

 うん、私もそう思った^^

 母と私だけの非日常を味わうのには、ぴったり。

 チェックアウトして 私の行きつけの美容院でパーマをかけてもらう。

 あぁ…やっぱり髪の毛をきちんとすると見栄えがする^^ これからは 私が頻繁に連れて来よう。

 昼食をとり食料品の買い物をしたら実家へ。

 その車中

「ゆうこと 久しぶりに長い事 一緒にいたねぇ」

…私、泣きそうになっちゃった。

 週に一度は実家へ行ってるけど、こんなにゆったりした気持ちになってないもんね。

 そして3時前には、市役所から介護認定の為の面談に。

 そこで…

「今日は朝ごはん 何時頃、何を召し上がりましたか?」

「いつも7時半ごろに パンとコーヒーと果物を食べてます(にっこり)」

 すでに昨日からホテル泊だと伝えてあるので

「今日もそうでしたか?」

「はい」 …とほほ。

「お昼ご飯は何を召し上がりましたか?」

「お昼は…えっと~何だったかしら? あ!外食したわ。ね、ゆうこ、外食だったね。何を食べたっけ?」と私に聞くから

「自分で思い出して」と書く。

「え~っと~~…思い出せないわ。忘れちゃった(にっこり)」

そこで「てんぷらうどん」と書くと

「そうそう! てんぷらうどん食べたわ」

…まだ食べた事を忘れてないからいいんだけどね。

 今日のメインイベントは美容院だったんだけど、それはもう忘れてるね。

 面談を終えて職員さんが帰ると

「ゆうこ、もう遅くなるから帰って。暗くなると心配だから」ここも母親なんだ。

 来週、市民病院の脳神経内科にかかる為の紹介状を 今 母がリハビリに通う整形外科にもらいに行くので

「5時までいるよ」と書いて見せる。

「お母さんもリハビリに行く? 一緒に乗せていくよ。紹介状もらったら私は帰るから、帰りは一人でね」

 と二人で出て来たけど、病院に着いたら、もう私が帰る事を忘れてる。

 すごく寒かったし、私も母を置いて帰る気になれなくて、結局 リハビリも注射も、おまけに「一昨日転んで怪我した手が痛い」のを診察してもらう事にもなって…。

 予定外の時間がかかってしまった。

 こういう時、私は我儘だ。

 同世代の友達は、子供達の塾や学校への送迎や急な通院など当たり前にしてるんだよね。

 私は自分の時間が無くなってしまうのが嫌だな…って思っちゃうの。

 子育てをしてない人は「自分が一番」になりやすいと 私は分析してる。

 子供が居なくてもそうじゃない人 ごめんなさい。

 うちの母娘に関して言えば、結婚後も私の具合が悪くなると実家に避難して半月以上、だらだらと静養させてもらってた。

 入院すれば週に2回は洗濯物を取りに通ってくれてたし…。(私33歳まで)

 母は60代後半まで、自分の時間も体力も 私の為に費やしてくれてたんだよね。それを嫌がったり面倒臭がったりもせず。

 37歳の股関節骨切り手術の入院では『ベッドに仰向けではりつけ3週間』泊まりで付き添って下の世話もしてくれたんだよね。

 なかなかベッド上で排便できなかった私の初便をちゃんと確認して

「よかったね~こんなにたくさん出て」って本当に喜んでくれたんだよね。

 そんな事を思い出して「これくらい当たり前じゃん」と気付く。

 すると母は突然「遅くなっちゃうから ゆうこ帰りなさい。ここから歩いて帰るのは いつもの事だから平気」と また『本来の母』に戻る。

 6時過ぎて、母を家まで送り、怪我の手で水を触る時に使うビニール手袋を探して渡してから帰る。

「ありがとうね~ 今日は ゆうこにあげる物 なんにも無いねぇ。ごめんね~」

…いや、昨日からたくさん買ってもらってるし、ホテル代も食事代も 結局 強引に受け取らされてしまってるし。

 自分ちの食料品を買って帰宅して「今 着いたから安心して」と電話した。

「遅くなったねぇ。ごめんね。ありがとうね。○さん(夫)によろしく言ってね」と また『本来の母』

 「ゆうこと 久しぶりに長い事 一緒にいたねぇ」と 帰りの車で嬉しそうにつぶやいた母を思い出すと、胸がいっぱいになる。

 喉まで涙が上がって来る。

 この先、母の認知障碍がもっとひどくなっても、愛しいと思えるといいな。

 2日間、私も嬉しかった。

 

 

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