« ここちゃんの花♥ | トップページ | 母の引力? »

2014年5月19日 (月)

母との幸せな時間

 土曜日、約束通り、デイサービス施設へ母を迎えに行った。

 例のごとく「うちの娘」と皆に紹介しまくる。

 薬や着替えを取りに実家へ寄ると、家計簿の下に

『弟桃へ、お母さんは ゆうこの家に泊まります。明日 帰ってきます。心配しないでください』と手紙。

 ただし日付は16日。昨日書いたのかな。

 そう言えば、15(木)仕事中の携帯に5時頃2回着信があり、家の電話には「もしもし! ゆうこ?! お母さん 今 帰って来ちゃったけど!」とちょっと怒った声の留守録。

 夫の携帯にも同時刻に電話があったそう。

 私が水曜日に『17日(土) ○○の郷へ迎えに行きます。夫桃さんが留守なので ゆうこの家に泊まってね。18日(日)に送ります』と書いて貼って来たのを その後毎日「今日 ゆうこが迎えに来る日!」と思ったんだろうね。

 金曜日にも「お母さん もう帰って来ちゃったけど、約束やぶってごめんね」と電話がかかってきたし。

 さて、母を家に泊めるのは3年ぶり。

 その間、観劇の帰りにホテル泊は3回してるけど。

 夕方になってもまだ初夏のまぶしい光の中、母を乗せて自宅に向かう。

「どこへ行くの?」

『私の家に泊まるんだよ』

「まあ! 嬉しい!」

 この類のやり取りは3回。信号で止まる時しかノートテイクできないのよね。

 焼き肉を食べて、まだ明るいので 家に帰る前に車を降りて緑道を散歩する事に。

 柔らかい夕方の光を浴び、気持ち良い風に吹かれながら母と歩く。

「いいところだねぇ~」笑顔の母に 私も嬉しくなる。

 マンションの部屋に着くと「いい家だねぇ~。いつ買ったの?」から始まった。

 何度も来てるんだけどな…。

 あちこちの部屋を覗いて回り、指を折って「5つも部屋あるねぇ。広いねぇ」

 実際は3LDK(床面積は2LDK分くらいだと思う)なんだけど、頷いておく。おそらく最初に数えた部屋を また数えてるネ(苦笑)

 昔は来る度に「物が多すぎるわ~。狭いから仕方ないけど、息が詰まる。ちょっと物を捨てなさい。もう少し整理しないと 夫桃さんが気の毒」とうるさかったのに。

 機嫌が良いと きっと景色も違って見えるのね。

 可愛い言動を繰り返す(後半に箇条書きします)母に 私も和む。

 そのうち「家賃はいくら?」とくる。

『分譲で買ったんじゃん』

「ほんとー! もう全額払ったの?」

『まだローンが○円残ってる』

「よく頑張ったねぇ」

 このフレーズが翌日 違う展開に。

 日曜の朝、それまでに書いた紙を読みなおしていて『まだローンが○円残ってる』だけが 母の目に入っちゃった。

「ゆうこ! ○円もローンって、借金してまで何を買ったの!?」

『この家じゃん。ちゃんと計画通りに支払いできてるんだよ』

「もう…○円も借金って、お母さん 胸がドキドキするわ…」と半ば怒りながら心配顔。

 その後 5分間くらいは「どうして○円も借金するの…どういう買い物なの」と怒ってた(苦笑)

 昔なら、母とゆっくり一晩過ごせば、話はいくらでもあったのに、今はそれが無い。

 ノートテイクしても、最初に書いた事が母の記憶に残らないので、長い話は無理。

 それでも母と一緒に居る事が嬉しかった。

 嫌がる母を『一緒に入ろう』と狭い浴室に二人で入った。

 私が発病した当時のある夜、一緒に入浴した母は私の体を洗ってくれて、タオルを洗う事さえ、私にさせなかった事を思い出す。

 さっきまで嫌がってたのに、湯船に浸かって「幸せだねぇ~ いいお風呂だねぇ~」とご機嫌さんな母♪ 可愛い。

 でも「もう出るわ」だったり、いきなりシャワーを出したりして、私はうかうか自分を洗ってられない。

 幼子をお風呂に入れてる親は何年もこういう風なんだろうね。

 寝るのも早い。

 私は11時過ぎのドラマを見たいので、母を和室の私の布団で先に寝かせる。

 布団の中でも 頬を上気させて「お母さん 今日 ここで泊まるの?嬉しいわ~。幸せだねぇ~」と可愛く笑う。

 トイレの場所も 以前 使ってるんだけど、覚えてられないので『トイレ』と大きく書いた紙をドアに貼りつけた。

 夜中のトイレに備えて、トイレの扉の内側(便座に座ると丁度見える位置)に
 『夫桃さんが留守なので、お母さんに泊ってもらった。私はトイレの隣の部屋で寝てるので、安心して寝てね』と張り紙をした。

 でも6回のトイレの度に 私は目覚め(以前 実家に泊まった時もそう) 母が出てくるのを部屋の明かりを点けて待つ。
 出てくると、張り紙を読んだばかりなので「ゆうこぉ、ありがとうねぇ~」と にこっとする。

 私もつられて笑う。

 真夜中に見つめあって笑う二人…笑。

 そして、戻るべき自分の布団の位置がわからない。
 狭い家なので、三歩歩けば見えるんだけど、ご丁寧に逆方向の洗面所へ行く。
 手を引いて布団に連れて行くと
「あ~ここだったねぇ」そして横になると また嬉しそうに「極楽だわ~。ゆうこぉ ありがとうねぇ~」

 何度目かのトイレの後には

「ゆうこって、夫桃さんと結婚したんだった?」ときた。

 ノートを取りに行くのが面倒だったので、大きく頷いて見せる。

 寝ぼけてるのと半々なんだろうね。

 

【可愛い編】

・仏壇の前で「ご本尊様 はじめまして。ゆうこの母です。どうかゆうこと夫桃さんをお守りください」×10回

・『はじめまして…じゃないよ。前に何度も来てるよ』と書いたら、「お久しぶりです。どうかゆうこと夫桃さんを…(以下同文)」×10回

・布団に入ってから「お母さん すごく幸せ」「お父さんが見たら羨ましがるわ」「お父さん 私ばっかりこんな幸せでごめんなさい」と泣く。

【困ったチャン編】

・緑道の散歩中、花を見つけると無意識に折ろうとするので 慌てて制すると「あ、いけないね」と 手を引っ込める。(素直だったなぁ…)

・「今日 ゆうこの家に泊まるの? 弟桃に言ってないわ…どうしよう」×20回

・店で「トイレどこかしら」と言うと同時に立ち上がって行ってしまう。
 『店員さんに自分で聞いて行こう』って意識は良いんだけど、聴こえない母に説明する店員さんに申し訳ないし、 行っても席へ戻ってこられないから、私と一緒に行ってほしいのよ。

・友達がくれた高級な茶葉を丹念に淹れるつもりで、食事の出来上がるタイミングを計っていたのに、気を利かせたつもりで勝手にお湯を入れちゃう。
 「もぉーーー何してくれるのー!」と思わず言っちゃうけど、聴こえないから助かる。
 聴こえてたら、ここで喧嘩になるよね。

・ウインドショッピング中「こんなのは安っぽい飲み屋のお姉ちゃんが着る」などと大声で言う。

・日曜日、朝食後、しばらくすると「お母さん そろそろ帰るわ」
 『お昼もここで食べて、ウインドショッピングして夕飯のおかずを買って帰るんだよ』と書くと納得するも またしばらくすると「お母さん、もううちに帰りたい」

 翌日の朝食も昼食も 私が出すもの全て「すごいねぇ~」「嬉しいわ~」「美味しいわ~」と感激する。

 実家へ持って行って作るものと大差は無いけど、やっぱり使いなれた我が家のキッチンと食器だからね。

 それに、弟と二人では、こういう食事はできてないよね。

 グループホーム入所は 私の中で『母の為じゃなく、弟の為』だったけど、母の為でもあるかもしれない…と思うようになった。

 
 一緒に入浴してみて、洗う事や、着替えなど ちゃんとできなくなってるのを知ったし、そもそも家で入浴を嫌がったら、弟はそれ以上手を出せないはず。
 下着の洗濯もおそらく たまにしかしていない。
 私が同居していればサポートできる事だけれど、これを弟(男だから)に求めるのは無理だもの。
 グループホームにいれば 最低限の事はしてもらえる。
 入所に向けて、私を本心から前向きにしてくれる貴重な二日間になった。

 買い物をして実家へ送り、台所の片付けをしていると、なんと母は干しっぱなし(水曜日に私が縁側に干した)だった洗濯物を畳み始めた。

 母の『正気のスイッチ』が入った。

 グループホームへ入所しても、たまには こうして家へ泊めればいい。

 可愛く笑う母をたくさん見たい。私も一緒に笑いたい。

 体は疲れたけれど、心が満たされてるので「あ~やっと解放された~」とは不思議に思わず、母が居た事を思い出すと胸がきゅんとする。

 これも神様が与えてくれた時間なんだなぁと思う。

|

« ここちゃんの花♥ | トップページ | 母の引力? »

母の老い」カテゴリの記事