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2015年4月16日 (木)

母の幸せ

 インフルエンザで先週は母のところへ行けず、二週間ぶりの訪問。

 リビングでテーブルの前に 一人で座っていた母は 私を見るなり「ゆうこ~~~! よく来てくれたねぇ~!!」と満面の笑みで両腕を上げて喜ぶ。

 母の手をとって部屋へ。

 二週間ぶりって事は認識してない。

 片付けをしながら『喫茶店へ行こう』と書いて見せると

「わぁ! 嬉しい~~~!」

 職員さん達がかわるがわる「母桃さん、よかったねえ~!」「嬉しそうだねぇ~」「行ってらっしゃーい」と声をかけてくれるけど、母には聴こえず。

 私が手ぶりで母の意識を職員さん達の方に向けると 「これ 娘です」

 とんちんかんな答えにも職員さん達は笑顔で「はい、はじめまして~」と合わせてくれる。

 ホームの玄関で靴を履き替えるのも 車の乗り降りも どんどん覚束なくなってきてる。

素直に私を頼ろうとするから 強がられるよりも 私は楽。

 いつも私の手を探している感じ。

 車に乗ると「幸せ~」「ゆうこ ありがとね~」

 喫茶店で いつもの小倉トーストを食べて「おいしいねぇ~」とにっこり。

でも「お父さんが羨ましがってるわ」が出なかった…。

 ホームに戻って 部屋で爪を切ってやる。 ちょっとずつ慣れて来た。

でも途中から 母が震え出した。 そんな無理な体勢では無いはずだけれど、母は緊張して片腕に余分な力がかかっていたんだと思う。

 慌てて横にならせて、足の爪を切る。

 されるがままで 天井を見ている母。

 職員さんが いつものバイタルチェックに来てくれて、検温や血圧測定をしてくれる。

 私が一番好きな職員さんOさんが「近頃、母桃さん 元気が無いんですよ…」と。

他の入所者さん達の悪口も言わないし、お風呂も素直に入るって。

「母桃さん そんな事 言わないのー!」ってたしなめてた頃の方が張り合いがあったって。

 毎回 あの手この手で苦労して入浴させてくれてた。

それが近頃は「一番風呂だよ」と言うと「嬉しい~!」と言って入るって。

 素直で手がかからなくて嬉しいはずなんだけど、職員さんは「元気が無いのが気になるし、なんだか寂しくて」と。

 「お父さんの話もされなくなったし」

 うん、私にも言わなくなった。

 他の入所者さん達の振る舞いも もう目に入って無いのかもしれないな。

「ありがとう」「嬉しい」「幸せ」「おいしいね」 一瞬のその感情だけが残っているのは 私にとっては嬉しい事だけれど。

 母の為でも 私の為でもなく、同居する弟の為にグループホームへ入所させて11ヶ月。

今では ホームのお陰で私に余裕が出来て、母に優しく接する事ができるようになり、昔のような仲良し母娘にも戻れたので、ホーム入所は 予想以上に良かった。

 でも母にとっては どうだったんだろう?

 家からデイサービスに通う暮らしを続けて居れば、自分で夕飯を買いに行かなきゃいけないっていう意識や『足を鍛える為に毎日 近所を散歩する』のも継続できてたかもしれない。

 …でも きっと ご近所に迷惑をかける事は もっと増えてたよね。

 私も疲れ果てて 母に優しくできなかっただろうし。

 週に一度訪問し、母との時間だけをつむげる今だから、母を愛しく思えるんだよね。

 私にとっては、ホーム入所は 予想以上に ありがたいのみ。

 母にとっては、どちらが良かったか…と考えるのは もう無意味。

 これからの母の一瞬一瞬を 嬉しい気持ちで満たしてやりたい。

 …と書きながら、テレビを見るのが好きだったのに 今は ホームのリビングの大型テレビを楽しむ事も無いし、入所者さん達と仲良くする事も無いし、母の幸せは何だろう…とも思う。

 あんなに真面目に生きて来たのに。

 仕事も家事も頑張って、病気の父と私の世話もして、弱音や愚痴も言わずに ひたすら家族の為に生きて来たのに。

 ご近所や自分の兄弟の事も大切にして来たのに。

 私が子どもを産めたら 孫が「おばあちゃん おばあちゃん♪」と慕って もっと楽しい思いをたくさんして、今も溌剌おばあちゃんで居られたかもしれない。

 自分の事よりも家族や知人を大切にしてきた母の晩年が こうなってしまうなんて 不公平だ…。

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