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2015年9月30日 (水)

とうとう わからなくなった

「あんただれ?」から始まるグループホームの母との面会。

『ゆ・う・こ』と大きく口を開けて見せると「あ~ゆうこか~」(こんな言葉遣いする母じゃなかったけど)

そして そこからは「ゆうこ~ ごめんねぇ~」を繰り返してたのに、たった一週間で 母はまた階段を一段 下りてしまった。

『ゆ・う・こ』までは いつもと一緒。

でも「ゆうこ? ゆうこは そんな顔してない!」

『ゆうこだよ~』と笑って顔を近づけたら 不機嫌な目でにらみ、次の瞬間 胸を掴まれた。

 そういう冗談をする母じゃなかったんだけどなぁ。

 ノートテイクの道具のある部屋へ行く為に、母の腕を取って ゆっくり歩き始めると

「どこへ連れて行くんだ!」と私の腕を叩く。

 笑い顔を見せて ティーカップでお茶を飲む仕草をして見せると ちょっと落ち着く。

でもキッチンの奥で洗い物をしている職員さんに助けを求めるように カウンターに掴まって覗きこむ。

「知らない人がどこかへ連れて行こうとしてるから助けて」って事なんでしょうね。

「どこへ連れて行くんだ!」って乱暴な言い方は 必死に威嚇してるんでしょう。

 職員さんよりも信頼されてない『知らない人』に たった一週間で降格。

 いつもの喫茶店へ。

 車から降りるのに また一苦労。

 先週までは、身ぶり手ぶりで なんとか自力で下りるように促せたけれど、もう喫茶店の駐車場に居る事や 降りなければいけない事が理解できないみたい。

 加えて、降り方が分からないんだろうなぁ…。

『喫茶店に着いたから立っておりてね』と書いて見せると「わかった」と言って…動かない。

 この人について行って大丈夫なんだろうか? の葛藤もあるのかも。

 

 ここの喫茶店の店員さん達は、店内から私達親子を見つけると二重の扉を開けに来てくれる。

「そちら空いてますから、どうぞ」と いつもの席を示してくれる。

 こんなやさしさに救われながら、何とか着席させる。

 幼児にするように、飲み物やケーキを一つ一つを母の口元へ運ぶと「あー おいし!」「あーおいし!」

 先週までは「ゆうこ~ ありがとうねぇ~」も出たんだけどなぁ。

 そそくさと私も自分の口に入れながら

『私 誰だかわかる?』とノートテイクで会話を試みる。

「わからない」

『(漢字で)ゆうこ』

 じっと見るけど、母の頭には何も届いて無さそう。

『娘のゆうこ(今度は漢字に振り仮名をつける)』

 しばらくじっと見て

「娘のゆうこは知ってる」 

 なるほど…娘のゆうこは知ってるけど、隣に居るのが それだとは思って無いのね。

『お父さんは 父桃』と書いても 全く無関心。

『息子は 弟桃』 漢字で書いたのを ちゃんと読めた!

そして「弟桃は ここには来ないわ」

 食べ終えて席から立ち上がるのに また一苦労。

店員さんが また走って扉を開けて押さえててくれる。

「ご馳走様でした~。いつもお気遣いありがとうございます~」

「いいえ、また来てくださいね」

 こうして温かく寄り添ってくれる人の存在が どれほど力をくれてることか。

 ホームについて また車から降りるのが難しい。

身ぶり手ぶりと『ここに掴まって』『足をこっちに出して』とノートテイクしても「わかった」と言って動かない。

 一週間に一度だからできるけど、これが毎日 何度もだったら、絶対に怒れてくるだろうな。

 

 いつか私の事も分からなくなるんだろう…と 数ヶ月前にブログを書いた。

 予想より早くその時は来て、世間で聞く程ショックじゃなかったけど、先週までの『母が可哀想』は ちょっと形が違ってくる。

 『寂しい』『悲しい』に近いかな。

 

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