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2019年5月10日 (金)

88歳の誕生日

 母 88歳の誕生日を迎える事ができた。

1月に大腸癌が見つかり その時点で「余命2~3ヶ月」と言われ、88歳の誕生日は無いはずだった。

 

 誕生日の昼前、特養から「聴診器を当てると ぽちゃぽちゃ音がします。胸に水が溜まっているようで、ご本人に病院へ行くか尋ねてみたら頷かれたので 今 行っています」と電話があった。

 ドキドキする。 病院へ行くか尋ねられて本当に頷いたんだとしたら、それくらい苦しいって事かな。

この日は、今後の介護について施設の人達と話し合う事になっていた。

 

 泣きたいのに泣けない状態で施設に向かう。

 病院から戻って眠っている母。 ベッドの位置が変わっている。

「今日はお誕生日のお祝いをさせていただきますね」と笑顔の支援員さん。

話し合いは、誕生日祝いの後で・・・と。

 

 嫌な予感もあり、母の手をとって「おかあさん・・・おかあさ~ん」と呼んでいるうちに泣けてきた。

やっと声をあげて泣けた。

しばらくすると 次々に支援員さんが「掃除します」「母桃さんの顔 見に来ました」と訪れる。 

あれ? なんか変だな。

 母が口を動かしたので これは何か飲ませるチャンスだ!と カフェオレを作る為 K支援員さんを残してリビングに向かうと、そこには大勢の支援員さんが集まってた。

 私を見て慌てた様子。

 別のユニットに異動していたはずの男性S支援員さんも居る。

「あ~!」と顔を見合わせるみなさん。

 あ、何か打ち合わせしてたんだ。

私が来てしまったので、打ち合わせ途中で「今から行きま~す」となった。 

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普段は事務所にいる介護福祉士さんや看護師さんも含めて11人が 母のベッドを囲み♪ハッピーバースデー♪を歌ってくれる。

母は目を閉じたまま。

異動したS支援員さん(母の入所当時は新婚で、今は2児のパパ)は、ユニットの皆が公認の「母桃さんと相思相愛」

わざわざ来てくれたんだ。

歌の後は、一人ずつが母に顔を寄せて祝ってくれる。

S支援員さんは、母の頬に触れて にこにこ微笑み 本当の孫のよう。

「Sさん、ここで母桃さんにプロポーズしないと」と冷やかされる。

いやいや・・・重婚になりますから。 おまけに 私「お父さん」と呼ばなくてはいけなくなりますから~。

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心づくしのドライフラワーのアレンジメントのプレゼントも。

私は嬉し涙。

 

 笑い声がさんざめき、他の利用者さんが何事かと見に来る。

私にいつも声をかけてくれるTさんは 心配そうにのぞき込み、動かない母を見て亡くなったと思ったみたい。

「お誕生日のお祝いしてたんですよ」と支援員さんが説明すると「命に別状はないのね?」と。

「お元気ですよ~」

 

 

 その後、事務所へ場所を変えて 今日の診察結果を聞く。

腸イレウスが起きていて 腸が腫れ、横隔膜が上がってしまい胸水が溜まっている。

飲食はもう本人の苦痛を増すだけ。

 ・・・なるほど。 そういう事だったんだ。

私がカフェオレを作ろうとしたら「飲み物は 話し合いの後にしましょう」と止められた時 何かあるんだなとは思った。

 

 話し合いは「看取り」への取り組みについて・・・だった。

ベッドの位置も それ用に変えてくれてたんだ。

食事の介護が無くなった分 今の母にできる事をたくさん提案してくれた。

母に合わせた計画書もできていた。

食べさせる事はできないけれど、本人が好きな物を少しだけ口に含ませる・なめさせる事はしていきたいって。

一人の利用者に これだけきめ細かく対応してくれる事に感謝するばかり。

 

 帰宅後、話し合いに同席していた若い女性介護福祉士さんから電話があった。

「あの後、ユニットの支援員さんと話してたんですが、母桃さん 花がお好きだと言われたので、これから預り金(通院や髪のカットなど用にいくらか現金を預けてある)の中から 花を買ってもいいですか?」

 お正月のアレンジフラワーは 毎年 自分で作って持って行くけど、花の世話までは支援員さんには頼めず、翌週に行くと かなり枯れているので、生花は諦めてた。

そう伝えると「花の世話くらいしかできないので、是非させてください」

そして毎日 母の様子を電話で知らせてくれるとも。

これもね、本当は私から電話したかったの。 でも電話は事務所にまずかかり、そこからユニットに繋げ、ユニットの支援員さんも それぞれ動いてるから 時間帯によっては迷惑。

 甘えさせてもらう事にした。

 

 こんなに周りに大事にされる事なんて、母の人生にあっただろうか。

何にも考える事もなく、執着も心配も無い今は 神様が最後に与えてくれた幸せな時間なのかもしれない。

 母は 一見すると眠っているだけで、少しも苦しそうに見えない。

それでも、以前撮った写真と比べると面相も変わって来てる。こうやって少しずつ枯れていくんだね。それを私は見てるしかないんだね。

 

 私は「施設での話し合い」に向けて、不老会(母は献体・献眼を望んでいて、父の死後 すぐに不老会に入会している)へ『その時』の具体的な手続きなどを問い合わせてある。

 冷静で居られるのは 私も幸せなんだなろうな。

 

 色んな状況を想像はしてるけれど、今はまだ思いつかないような修羅場が来るんだろうか・・・。

 

 

 

 

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